「社会的割引率」とは何か? 重要なファクター

G7の中でも経済成長しない国のNo.1が日本である。公的資本形成の推移を高橋洋一氏がグラフ化したものを見てみると、G7の中でもに日本以外の六ヶ国は程度の差はあっても、明らかに上昇カーブを描いているのにも関わらず、日本だけが全く上昇せず、1995年を1.0とした場合に、2022年まで1.0を下回っており、上昇どころか緩やかな下降傾向となっているのが実情である。つまり日本政府は「過小投資」状態なのだ。ここ30年間の投資があまりに少なすぎたのである。

では、なぜ日本は「過小投資」なのであろうか?

最大の誤り(間違い)は「社会的割引率」(の数値)である。

どういうことか?

そもそも「社会的割引率」とは何であろうか?

 

----------

[社会的割引率]

公共事業等で将来の利益・費用を現在の価値に換算する為のレート、である。すなわち、「どのくらいの利益・費用が見込めるか」の基準となるものであり、これが高いほど投資のハードルは上がるのだ。

----------

 

それで、現在の数値はどのくらいかと言えば、

「4%」

であり、これは2004年から全く変わっていないのである。

実はこの「変わっていない」ことが「おかしい」のであり「間違い」なのだ。世界各国でも社会的割引率があるが、これは国債金利等に合わせて毎年変更されていくものなのである。

「4%」という高い数値を変えないおかげで、公共事業・公共投資をやろうとしても4%を上回らなければ不採択になってしまうのだ。「やらない」ということ。

 

で、実はこの「4%」という数値を定めたのは国交省だが、根拠を持って「4%」という数値を提示したのは高橋洋一氏自身である。2004年当時、高橋氏は財務省から国交省に出向しており、国交省は社会的割引率の数値を決めようとしていたのだが、よく分からないので、当時出向していた高橋氏に尋ねたのである。高橋氏は当時の国際情勢で世界各国が国債の金利と同じにしていた事を知っていた。当時のレベルで言えばそれが「4%」だったので、高橋氏は国交省の官僚の質問に対して「4%ですね」と答えた。それで社会的割引率が「4%」ということになったのである。

ここで重要なのは、高橋氏は「今は4%だけど、この数値は毎年見直して下さい」とちゃんと付け加えている事だ。国債の金利は変化するからである。だから金利が上がったら社会的割引率も上げても良いが、下がったら「下げて下さい」とちゃんと念押ししているのである。

それで実際はどうなったか?

実際の金利はその後は下がっていったのである。だが、社会的割引率は下げられなかった。4%のまま動かなかったのだ。

ちなみに現在の長期金利は2.0~2.5%である。ならば社会的割引率もこれに歩調を合わせて変化させなくてはならない筈…だったのだ。だが、社会的割引率は全然変わることなく今に至っているのが実情である。

この原因についてだが、高橋氏は国会で証言を求められた時にその理由を述べた。国交相は永らく公明党出身者の指定的だった事もあり、「公明党のせい」と素直にぶっちゃけたのである。

繰り返すが、社会的割引率は金利の上下に合わせて「変える」のが普通である。だが、日本は金利が下がっても社会的割引率は高いままにしていた。そのおかげで「過小投資」となっていたが、それで良しとしていたのが国交省だったのである。そしてその国交省を牛耳っていたのが公明党だったのである。

 

それでは今、どうすればいいのか?

社会的割引率を2.0~2.5%にすることで、普通に考えれば公共投資が2倍に伸びる事が予想されるところだ。

逆に、現在の「社会的割引率=4%」の状態が高市内閣が進める「経済成長」「責任ある積極財政」にとって制約になってしまうのである。高橋氏は政府に対して「4%のままでやってることは無責任です」と提言している。そりゃそうだろう、「4%」のままだと「投資を抑制する」ことになってしまうのだから。国債の金利に合わせて毎年見直すなら「無責任ではない」と。

国債の金利は現在およそ2.2%くらいである。この状況なら、社会的割引率は2.0~2.5%にすればよろしい、ということである。

 

日本各地で、インフラストラクチャーが耐用年数を迎えて下水管が破裂して道路が陥没する、とか、道路の下からいきなり金属製の大きな管が地面を突き破って持ち上がってくるとか…そういった不具合が多発している昨今である。これ、全て社会的割引率をきちんと見直さない事で公共投資が行われないが故に起きている事なのだ。これを現状に合わせて2.0~2.5%にすれば、建設国債を沢山出せるのでインフラ整備も簡単に出来る、ということになる。

 

社会的割引率・・・こういうことなのである。

 

 

 

.