平昌オリンピックにおいては北朝鮮の政治的な動きに注目が集まった。
日本での報道ではなんとなく南北朝鮮が歩みつつあるかのような印象を与えるものが多かったが実際はどうだったのか。
北朝鮮に依る南北融和のプロパガンダに文在寅大統領が乗った結果として文在寅大統領の支持率は81.6%から59.8%に下がってしまった。
日本では報道されなかったが、金正恩の実妹である金与正を文在寅が手厚く迎えていた時に建物の外では金与正訪韓に反対する人たちによる凄いデモがあったのだ。
北朝鮮国旗を燃やしたりしたのであり、米国のCNNも多くの時間を使ってこれを報道していた。だがしかし、我が日本のテレビでは全く報道されなかった。こういうところが日本のテレビ局の不可思議な部分である。
さて、現在のこの状況で南北首脳会談に動くとどうなるのだろうか。さすがに文在寅大統領も現実主義者なのでそう簡単にはいかないと踏んではいるようだ。
北朝鮮自身は「平昌オリンピックに参加します」と言っただけであり、決して「核開発をやめる」とも「ICBMを射たない」とも言ってはいないのが実態だ。従って五輪終了後も緊張は高まったままなのである。
日本のテレビを見ていると平和になりつつあるように錯覚するが、実態は全く違う。韓国国内は結構荒れている、というのが実態である。
結局、パラリンピックが終わる3月中旬までは事実上緊張緩和はしているが、実は何も変わっていないのだ。この問題に関しては日本政府も米国政府も文在寅に対して相当厳しく言っている。合同軍事演習を早くやりなさい、とか、オリンピック中は黙ってるけどオリンピックが終わったら圧力路線に戻りなさい、と。
安倍総理が平昌五輪開会式に行ったが、それはどうしてなのか。
どうも文在寅大統領が慰安婦合意については棚上げの意向を持っているようだという事がある。韓国国内向けには日韓合意を否定して見せておいて、その一方で「いや、破棄もしません」と言って、結果として曖昧にしている。日本から見れば曖昧なまま何もしないで済まそうとしているのは「そうはいかない」ということになる。ちゃんと日本大使館前の慰安婦像は撤去しなさい、と。・・・というようなことを直接言うしかないと思ったのが理由の一つである。
もう一つは、アメリカがペンス副大統領を派遣するけどペンスだけじゃ心もとないから安倍総理に「一緒に行ってやってくれ」という要請があった。一緒に行って2人で文在寅大統領を説得しよう、ということをホワイトハウスからかなり強い要請としてあったのである。
安倍総理に「一緒に直接行ってくれ」と言うのは恐らくトランプ大統領の命を直接受けたのであろうと思われる。文在寅大統領は親北朝鮮でありアメリカが嫌いだ。
北朝鮮が朝鮮民族の正当なナショナリズムを代表している、というのが彼のスタンスだ。だから統一に向けて、北になびいて前のめりになっているのだ。
前大統領である朴槿恵を引きずり下ろした運動、市民運動を全部主導したのは親北の団体や労働団体である。慰安婦問題で騒いでいるのもバックには全て北朝鮮が存在しており、そうした市民団体は北朝鮮の司令どおりに動いているのが実態である。
韓国の人々は知らない内(朴槿恵排斥運動などをやってる内)にいつのまにかとんでもない”対南工作の最終結果のような人”を大統領に選んでしまった、ということである。その意味では韓国は既に詰んでいると言えるだろう。
だから安倍総理とペンス副大統領が2人で行って最終通告のような感じで一緒に圧力かけようということで行ったのだと思われるが、しかし文在寅は(緊張関係はあるにしても)南北会談になだれ込んでいくのは必定と思われる。
この問題をオリンピックから見たらどうなるか。
クーベルタンがオリンピックを最初に作ったときは4年に一度のオリンピック期間は戦争をやめて素直にオリンピックに出るというのが規則だったので、開催期間中は冷却期間になるのである。だから南北の融和の方に行くのであればオリンピックの政治利用としては正当であるとも言える。
もう一つは、民族が2つに分かれていて兄弟や離散家族がいるという状態は決して幸福な状態とは言えない。ドイツだって統一しているのだから日本は朝鮮の統一について積極的な役割を果たすべき、なのかもしれない。
アメリカというのはそもそも過去に日本が戦った相手であり敵でもある事は今一度再認識しておく必要があるだろう。
ただ、こうした問題もある。
オリンピックの政治利用は結構なのだが、その結果が良い方向に向かってるのかどうかと言うと、そこを見る限りは変わっていないように見える。変わってないどころか、北朝鮮にとっては時間を稼ぐというのが最大の利益になるのだ。これで少しでも時間を稼いで核やミサイルの開発が可能になれば、むしろ悪い方向に向かっていることになるのである。
南北首脳会談とは北朝鮮が持っている最高のカードであり、これ以上のものはない。とっておきの大事なカードをきるということは、それくらい欲しいものがある、ということに他ならない。欲しいものは何か。それが前述の「時間」である。
時間稼ぎをしたいから南北首脳会談を提案した。逆に言えば首脳会談は出来ようが出来まいがどっちでもいい。もめてる間に時間が過ぎていくのだから。・・・ということは北の核ミサイルは完成しつつある、ということである。今年中に完成するのはまず間違いないと言われている。
ただ一方で金与正という自分の妹まで差し出してこういう外交をやってきたというのは、北も相当困っている、という実情が伺い知れるのだ。
北は時間稼ぎだけでなく、将来は北優位の南北統一を狙っているので、韓国民の中にも「北の核は朝鮮民族の核なんだ」「結構じゃないか」という世論を盛り上げようと画策しており、それはある程度成功しているのが実状だ。
実は文在寅大統領は北が核を持つ事を(腹の中では)容認している。つまり容認してしまえば、統一したときは朝鮮半島に核を持つ、ということになるからだ。だから韓国民も「北の核は悪くない」「統一した時に我々は即核保有国になるのだ」と思って心の底からは北に反対していないのである。
実際問題として、核付きの統一しか今の朝鮮半島は統一不可能であろうと思われる。日本はその核付き統一に文句を言ってもいいが、しかし同時にそれに対抗する軍事力を持つことが日本には必要であろう。
「4月1日に米韓合同軍事演習」が実施されることが発表された。これは最初は3月20日前後で予定されていたのだが、そこに米軍の戦力が集中するので最も緊張が高まるであろう。消息筋の情報ではこの時点で80%の確率で軍事衝突が起きる、と言われていた。ただ、そこら辺を北朝鮮はしっかり読んでいるので今回の南北首脳会談をぶつけてきて韓国の世論を引きつけておいてアメリカ軍が自由に動けないような状況を作りだしているのである。
そして問題は文在寅大統領の側も、金与正と会った時に核とミサイルの話は全くしなかったことだ。平和ムードを演出するだけで本来韓国が当然のように要求しなきゃいけなかったことをしなかったのである。これは文在寅も北と同じ腹だ、ということを意味しているものと思われる。
実際に軍事衝突はあるのだろうか?
実際には衝突はないだろう、という読みがある。韓国側の被害が大きすぎるからである。首都ソウルに人口の四分の一くらいが集中している国だから、いざ大きな被害が出てからその責任を問うた時にはアメリカが批判の矢面に立つことになって責任を追求されることになるだろう。
ただ、2017年9月18日にマティス国防長官が「韓国が甚大な被害を受けない形での軍事衝突はある」と発言してはいる。これについて自衛隊のさる最高幹部は「徹底攻撃だ」と言う。米軍がトランプ大統領に示している作戦の数は5~7あると言われており、それはつまりあらゆるパターンについて準備している、ということであろう。
実際のところはどうなのか。軍事衝突はあるのかないのか。トランプ大統領自身は戦争したくない、できない、と考えているようだ。非常に難しい、と捉えているようである。
北朝鮮の実際的な反撃力がカタログスペックほどあるのかどうかに関してアメリカのシンクタンクが「それほどないだろう」という趣旨のレポートを出している。反撃してもほとんどアメリカには届かないだろう、と。不発弾も多いし無理だろう、というのがアメリカの専門家の見方である。
北朝鮮の反撃に関しては、最初の一撃で金正恩さえ排除すれば向こうには継戦する理由はなくなるんじゃないか、という見方もある。恐怖政治の独裁国だからである。独裁国では独裁者が死んでしまえば後は(国民としては)「自由になった」ということで終わってしまう可能性がある。
なので、トップを替えるクーデターのようなことができれば一番良いと考えられている。意外にオール・オア・ナッシングで、全然やらないか、やるなら徹底してやるべきだ、ということ。しかし徹底してやったらどうなるか。北朝鮮は焼け野原になる。それをアメリカは再建しなくてはならない。アメリカにとってこんな面倒くさいことはない。そうなったら結局のところ、中国が一番得をすることになるであろう。実際は焼け野原になったら中国にまかせるのではないかと推測されている。
逆に、軍事衝突が無いとすればどうなるのだろうか。
最終的に北朝鮮の独裁者の手には数発の核弾頭は残るであろう。我々はそれと共存してゆくほかなくなる。そういう形で統一が実現したとして、アメリカはそれを容認できるだろうか。結局容認するしかないだろう、というのが専らの見方である。
そもそもの話だが、トランプ大統領は何のために出てきたのか。それはアメリカが世界から手を引く為である。事実、中東からもアジアからも手を引いている。そんな国が北朝鮮を爆撃して駄目にして中国に世話を頼む、という形は絶対にあり得ないだろう。手を引いて、核はそのまま、ということになる。
この核はどうなるのか。
最も怖いシナリオは国家を持たないテロ組織が核を持つことだ。報復の危険がないのでどこでも攻撃できることになる。我々が最も避けたいのは領域支配していないテロ集団が核を持つことである。だから北朝鮮が核の流出や横流しをさせないと約束するなら米ロ中が関わってそういう体制で現地査察もする形で担保できるなら、あの国が持つのもやむを得ないということに最終的にはなるだろう。
北朝鮮はテロ支援国家ではあるが、何のために核開発しているかというと、第一の理由は金王朝体制の維持である。これを保障する為、というのが最大の目的である。だから、核を持たなかった反米独裁者であるカダフィやフセインは抹殺されたのであって、俺達はそうはならないぞ、という戦略判断は残念ながら正しいのだ。だからアメリカも手が出しにくくなってしまった。
もちろん北朝鮮は全然信用できないのだが、国内で核を持ってる分には、そしてロシアと共に流出阻止が担保できるなら妥協の余地はあることになる。アメリカに届くようなICBMは断念させるだろう。口約束ではなく現地査察して担保できるならば合理的な妥協をアメリカはすると予想される。
日本の見方はどうであろうか。
安倍政権や自衛隊幹部は軍事衝突する可能性は高いと見ているようだ。現在の法制上(憲法も)は難しいのだが、もしそうなった場合は拉致被害者救出の為に自衛隊を出すことも政府は検討している。
韓国は自衛隊の派遣は絶対に認めないが、米軍と共同するとかしてどさくさ紛れに勝手に出してしまう…と。そこまで想定しているのであって、何も検討してない訳ではないのである。
繰り返すが、韓国は公的には自衛隊の船や航空機は絶対に受け入れないとする立場なので、どうしても必要となったら日米で強行する他に方法はない。アメリカ人を避難させるために日本の船が行かざるを得なくなる場合もあり得るだろう。
このようなケースで、海外で該当事象が発生した時に従来はどうしていたのだろうか。その場合、自衛隊はその国の空港と港までは行けた。現地の日本人はその空港や港までは当該国の交通手段を使ってそこまで来てくれ、という形だったのだ。それが法改正で自衛隊の装甲車が日本人学校や大使館や領事館に救出に駆けつける事ができるようにようやくなったくらいである。
だがしかし、それは日本の法律の話であって実行するには相手国の同意が必要である。韓国はもちろんそれに同意していない。この場合どうするのであろうか。
また、韓国は日本人を人間の盾にするのではないか、という話もある。
逃げてくるのは6万人ほどいるので飛行機で何度もピストン輸送しないといけないのだが、戦時下でそれを遂行するのは非常に難しいであろう。
アメリカの攻撃のタイミングはいつなのであろうか。
もし実際にやるとなったら非戦闘員退避命令(NEO)が出るとは言われている。しかしそれが出たら攻撃が近いことがモロにバレてしまう。
公開されている情報から見てみよう。
アメリカのポンペオCIA長官は北の核ミサイルが「あと数ヶ月で完成してしまう」と発言している。大統領は一般教書演説で「まもなく北のミサイルが米本土に届く能力を持ってしまう」と発言した。コーツ情報長官は「もう決断の時がそこに迫っている」と発言しているのだ。
公開されている情報でこれだけ攻撃の可能性を言っているのだ。従ってこれは相当切羽詰まっていると判断せざるを得ないだろう。
4月からは相当緊迫してくる事が予想される。